「ハイファイな音」
次世代CDのコラムで散々DVD-AudioやSA-CDは高音質だ、と書きました。それは音をCDよりもきめ細かく録音している(音の解像度が高い)からだといいました。
ですが、だからといってかならずしも高音質に再生できるわけでもないのです。
音質、原音の再現性はA/D変換とD/A変換の質に依存します。A/D、D/Aとはそれぞれアナログからデジタル、デジタルからアナログを意味しています。
アナログからデジタルへの変換時には絶対に音声情報の劣化が生じます。これはアナログの波形は無限のつながりがあるので、
それをすべて保存できないことに起因します。また、録音時に使用するマイク、A/D変換回路の質によって、録音の良し悪しが決まります。
再生時はD/A変換回路とサウンドモニタの質によって音質が左右されます。
マイクやA/D変換には問題がないと信じるとして、録音の際に高音質を実現する方法にオーバーサンプリングというものがあります。
これは録音時に実際にメディアに収録するよりも細かく録音しておいて、波形の細かさを収録メディアに後であわせるというものです。
結果的に、収録メディアの限界しか細く保存されないから変わらないのではないか、と思うかもしれませんね。CDの音の解像度は16bit/44.1kHzです。
bit数は波形の振幅をどれだけの細かさで保存しているかという意味です。16bitなら65536段階で振幅を表現します。
kHzは波を一秒間当たりどれだけの細かさで録音しているかあらわしています。44.1kHzなら44100分の1秒おきに波形を保存していることになります。
それ通りに録音するとして、録音するべき原音のもっとも音量がある部分が16bitの最大の値として保存されたとき、
その録音はその解像度を余すことなく使ったといえます。
なぜなら、16bitで保存していても波形の大きさが保存できる限界の半分までしかない録音をした(65536段階あるのに保存された音が32768段階目までしかない)とすると、
波形の大小の区別の精度が半分しか発揮できていないことになります。
これは、波がない状態が0で最大振幅を65536(これは符号無しの場合で、実際は符号付きで管理されるので+32767か-32767前後)で表現できるところを、その半分しか使わない状態です。
具体的にどうなるのかというと、実際の最大振幅を録音できる最大音量として保存できたときには区別できる波の大小、0よりちょっとだけゆれてる状態の1という振幅が表現できなくなるのです。
波の大小の保存状態が大雑把になってしまうのです。
実際の録音でぎりぎりの音量で録音するのは不可能なのは簡単に想像出来ることでしょう。
ある演奏を録音するときにその音量のピークを前もって正確に知ることなどできないからです。
そこで、がんばってぎりぎりで録音するのが録音エンジニアの仕事ですが、限界があります。
なので、あらかじめ、メディアに収録できる限界以上の細かさで録音しておけば、収録したときにメディアの限界までの細かさしか保持できないが、そのメディアの限界を引き出すことができる
というわけです。販売されているCDによってはオーバーサンプリングを売りにしているレーベルもあります。よく見かけるのが24bitレコーディングとしているCDです。
以上のようにがんばって録音した音、これを高音質で聴くためにはD/A変換回路が録音された音の解像度に対応していることが当然の必須事項です。
ただ、それだけでは十分ではありません。D/A変換回路が保存されいるデジタル信号をアナログ信号に正しく変換してくれなければお話になりません。録音波形が忠実に再現され、チャンネルの位相があわなければならない。
さらにその信号を受け取って実際に音を出すモニタが素直に音を出すか。
高い機器がそれだけいいとも言い切れないだけに、機器選びは難しいのだが、安いものは大抵悪いので注意したい。